突然こんな手紙、びっくりするよね。ごめんなさい。
面と向かって話すと自分の気持ちをうまく伝えられる自信が無くて手紙を書くことにしました。
時間がある時に読んでもらえると嬉しいです。
ちゃんは僕達が初めて話した日を覚えてる?高校の入学式が終わった後、教室で隣の席の僕に「初めまして」って君が挨拶した。全てはここから始まったんだ。
中学が違った僕にも気さくに話してくれた君はいつもたくさんの人に囲まれた学年の人気者で、それに引き換え僕はただの地味な生徒の一人。席が隣でもなければ僕が君と仲良くできる機会なんて無かっただろうな。そう思うと最初の席が
ちゃんの隣だったのは僕の人生の中で指折りの幸運な出来事だったと思います。
君は席替えをした後も変わらず声をかけてくれていろんな話をしたけれど、授業の事、テストの事、昨日見たテレビの事……どんな話題でも君が見せる優しい声と可愛い笑顔に僕は
ちゃんの事をどんどん好きになっていきました。
それから僕はプロボクサーの試験に受かって、これを機に思い切って告白したら
ちゃんはOKしてくれて。
自分で言うのもなんだけど本当にびっくりした。
ちゃんは知らないだろうけど、あの時君を好きだった男子は僕だけじゃなかったんだよ。
だからまさか自分が選ばれるとは思っていなくて……こんなこと言ったら選んでくれた君に失礼かな。でもそのくらいダメ元の告白だったんだ。
こうして付き合ってから今まで大きなケンカもなく過ごしてきた僕達だけど、それはいつも君が我慢することで、君に許してもらうことで得られた月日だと理解しています。
僕は練習とバイトでほとんど休みがなく、加えて試合が決まると相手の研究にも人一倍時間をかけるからいつも寂しい思いをさせてしまったね。一般的な大学生やサラリーマンの恋人に比べて君にしてやれる事が少なかったにもかかわらず、会う時はいつも明るく笑ってくれる
ちゃんに僕はどれだけ助けられたか分かりません。生活面でも、精神面でも。いくら言葉を尽くしても足りないくらい感謝しています。
今でも時々思うんだ。高校の頃、学年のヒロインだった君が僕の側にいて、部活や授業で忙しい中で僕を支えてくれる。夢を見てるみたいだなって。
そんな君に僕は何をしてあげられたかな。
思い返してみたけれど、やっぱり君に見合う男にはなれずじまいだったようです。
ちゃんは僕と違う。思いやりがあって、明るくて、優しくて、賢くて。もちろん外見も綺麗だ。
君はもっと素晴らしい人の隣でもっと幸せになれる人なのに、僕が縛り付けているせいで君の幸福を潰してしまっている気がしてなりません。
だから僕のことはもう忘れてほしい。
もっと
ちゃんにふさわしい、僕なんかよりうんと君を幸せにしてやれる人を見つけて、その人の隣でいつまでも笑顔でいてほしい。
今までそばにいてくれてありがとう。
支えてくれてありがとう。
最後まで勝手ばかりで本当にごめん。
幸せになってください。
小橋健太
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