今度会えませんか?木村さんにお願いがあるんです。
神妙な声色の
に対する返事としてドライブを提案した時は、決してそれが楽しい外出になると木村は思っていなかった。
しかし秋晴れの下を駆け抜けてしばらく、助手席に座った
が
「インタビューをさせてほしいんです」
と「お願い」を口にしたのを聞いて、昨夜散々考えた相談事の候補が意味をなさなくなった木村はカーステレオのボリュームを落とし、こう答えた。
「どういうコト?」
「もう9月なので、来月に向けて木村さんのお誕生日プレゼントを考えてたんですが今年もやっぱりいいのが思い浮かばなくて……いっそ好きなモノを直接聞けたらな、って魂胆です」
「気にしなくていいのにそんなの」
「そーやって欲しいモノを聞いても木村さんは遠慮して答えてくれなさそうなので「インタビュー」なんですよぉ」
「まあ、
ちゃんの気が済むなら構わねえけど」
緩む頬を悟られぬよう努めて無表情を決め込む木村に対し、ぱっと甘い笑顔を咲かせた
は手で輪っかを作り、木村の顎の辺りに持ってきた。
「ありがとうございます!……では木村選手、最初の質問よろしいですか?」
「うむ、なんでも聞いてくれたまえ」
回るカセットテープは二人の空気を見計らったかのようにスローテンポのオルタナティブから明るいダンスミュージックへ移り変わる。
湿っぽいドライブにはどうやら程遠そうだ。木村はほんの少しアクセルを踏みこんだ。
■information■
木村さんのお誕生日である10月10日までの10日間(9月30日~10月9日)、毎日更新していた企画ログです。
短編と同じような一歩の高校時代の先輩夢主。イチャイチャしてるけどまだ付き合ってない。
※今回、いわゆる「捏造設定」が多く含まれているため、ニガテな方はお見送りください。
名前変換がまだの方は
こちらから登録お願いします。