き 嫌いになんてなれないくせに




!おめ、こげに煮えたぎった味噌汁をおらに飲めっつーのか?!」
「煮えたぎったって何よ!嫌なら無理して飲まなくて結構よ、お椀返して」
「んだとぉ?!」
「折角気をきかせて用意したのに。もうミヤギにはぜーったいお味噌汁作ってあげないもん! ミヤギのバーカ!大っきらい!!」
「おらだっておめーみたいなじゃじゃ馬女、こっちから願い下げだべ!!」

ミヤギが仕事で出かけてからしばらくして降りだした雨に気づいたは、 彼が折り畳み傘なんて持ち歩いているわけがなく 少ししたらずぶぬれで帰ってくるだろうということが安易に予想できたので 合鍵でミヤギの部屋に入りお風呂とお味噌汁を用意して待っていた。 そしてミヤギはの予想通り川に落ちたような状態で帰ってきていて お疲れ、お風呂沸いてるよ。なんて帰りを待ってくれていたに感謝しつつ そんな状況がちょっと夫婦みたいだと頭をよぎった瞬間 ミヤギは急に気恥ずかしくなってついつい憎まれ口を叩いてしまい、 元々そういった感情をストレートに表現するのが苦手な人だと知りつつも やはり好意で用意したものを無下にされるのは癪でありもそれに対して 鼻につくようなセリフを並べ立ててミヤギにぶつけている。

「まぁたあいつら喧嘩しちょるんか」
「二人ともよぉ飽きんもんだっちゃ」

ちなみにミヤギの部屋、というのはガンマ団の寮の一つで二人のやり取りは同じ建物内……特に両隣に住むコージとトットリには丸聞こえなのであった。被害をモロに受けているお隣さん達はベランダを一つ隔てて顔を見合わせやれやれと肩を落とした。結局ミヤギとはああやって戯れているだけだと分かっているので

「うおーい!ぬしら、痴話喧嘩はいいかげんにしたらどうじゃ?!」

コージがベランダから声を張り上げると

「痴話喧嘩じゃねーべ!」と
「痴話喧嘩じゃないわよ!」が

見事に揃って返ってきた。